








埼玉県毛呂山町マンゴー農家の直売所「みのりのやすみ」
本作は、埼玉県毛呂山町にあるマンゴー農家「さいたマンゴー」のために計画された直売所のデザインである。
プロジェクトは2024年4月に始動し、現地視察から設計スタディ、講評、施工、搬送・設置までを、約3ヶ月という短期間で走り抜けた。
園主・中村氏の協力のもと、学生たちとの協働により実践的に進められたプロジェクトである。
「さいたマンゴー」の直売所は、夏の約1ヶ月間のみ営業される。しかし、マンゴーが実るまでには約1年を要する。そこで、本計画では“夏の1ヶ月”と“残りの11ヶ月”のあいだをつなぐ、通りすがりの人にも気配を示し続ける直売所を目指した。また、収穫量に応じて棚板の配置を変えられるよう、農業の実態に即した柔軟な構成とした。構造には40mm角の国産桧材を用いた格子状の棚を採用し、通風性を確保しながら、棚板・ネット・ハンモック・吊るし器具など、マンゴーの多様な陳列方法に対応する余白のある設えとした。さらに、敷地に転がっていたプラスチックパレットにラタンを巻きつけることでベンチとして再生。組み立て・分解が容易で、不要時には原形に戻せる仕組みとし、廃材を生まない持続的な工夫を施している。
「みのりのやすみ」は、実りが“休む”ための場であると同時に、地域の生活にそっと開かれる、小さな交流装置である。
季節や収穫に揺らぐ営みを受けとめ、農と日常をやさしくつなぐ直売所のあり方を、毛呂山の風景に寄り添いながら提示した。
Date: 2024.7.23
Site: Moroyamamachi, Saitama
Note: Design Ma/ Awai
Member: 高橋京佑、小和瀬匠、小原廣之進(B4)、 秋山瑠奈、佐野瑠美、福永陽彩(B3) 、佐々木爽日、多田真緒里、南部詩乃、藤田夏綺、松尾亮太、 森川颯汰朗、清宮悠、栗生拓海、井冨花音、島田渉吾、 渡辺心春、首藤風葉(B2)
Photo:中島悠二
