【プロジェクト概要】
本プロジェクトは、「第6回 まちを楽しくするストリートファニチャーデザインコンペティション」において優秀賞を受賞した作品「えんつなぐ吉田町通り一花咲かすプロジェクト」を横浜市中区吉田町通りに2023年11月21日(火)〜12月5日(火)まで設置実践したものである。
以下設計コンセプト、設計内容を記載する。
【敷地:横浜 吉田町通り】
横浜市中区吉田町は関外に位置し、野毛町と伊勢佐木町という2つの歓楽街を繋ぐエリアである(上図)。吉田町通りはその真ん中を貫く約200mの商店街であり、ストリートに面して生鮮食品店や飲食店だけでなく画廊、画材店、写真店などアート関連の専門店も並び、夜になるとバーや飲み屋が賑わう。また年間を通して通り全体を使った様々なイベントが開催されている。通りの南側には3棟の防火帯建築(下駄履き住宅)が連なり、いわゆる沿道建築としての防火建築帯の典型的な風景が、街並みを形成している。
敷地調査では「下駄履き住宅の味わい深さ」、「店舗と屋外環境のつながり」、「昼と夜で異なる表情をもつ」などを実感し、その中でも親子のような大小2個1の、ボラード(以下親子ボラード)に着目した。ボラードは、直径300mm、高さ435mm/600mm、間隔700mmであり、現地では実際に腰掛けている人も多く、既に地域に馴染んでいるストリートファニチャーの存在を確認した。
【コンセプト:地域環境に+αするデザイン】
そこで、「既にある地域環境に+αする操作」、「店舗に合わせて造作し通りに一体感を生むデザイン」をコンセプトとした。即ち、ボラードに絡まりつき、お店や通りの環境に応じて展開するストリートファニチャーである。24mm厚の合板からプラモデルのように切り出されるさまざまな形のファニチャーが、吉田町通りにまるで花を咲かせるように配置され、繋がりを演出する(上図)。
既存の円形ボラードに寄り添うような形態は円を多用することとなる。通常、曲線は端材が多くなりがちなであるが、円形を切り出した際に余った部分も脚や支えアーチなどに活用することで、1枚の36合板からゴミとなる部分を極力減らす設計とした。また加工はレーザーカッターによってほぼ図面通りの部品を出力でき、組み立て及び塗装作業は学生メンバーによる自主施工とした。
【実施結果】
設置直後から複数の利用者が見られ、期間中に開催された吉田町通りのイベントでも各ファニチャーが多いに活用された。使われ方の観察調査では複数人で腰掛けて会話や荷物置きとしての利用、子どもたちの遊び環境としての利用など、本ファニチャーを設置したからこその結果も確認した。また数名の店主からは好評のフィードバックが得られた。実際、町内会では2024年の5月及び夏季に再設置が検討されており、これは地域から一定の評価が得られている証左とも言える。
元々地域の人々が軽く腰掛けるファニチャーとして機能していたボラードに+αするデザインによって、座るという行為のバリエーションの増加だけでなくそれ以外の行為を誘発することができたと思われる。
ヨコハマストリートファニチャー「えんつなぐ」
Date: 2023.11.21 – 12.5
Site: Yoshidamachi, Yokohama
Note: Dasign Ma/ Awai
Member: 安保花、高橋風汰、加藤暖菜、小和瀬匠、伊藤さやか、福永陽彩、秋山瑠菜、佐野瑠美