シェアビレッジ鎌倉西御門のゴミステーション「コミハコ」

シェアビレッジ鎌倉西御門のゴミステーション「コミハコ」

 本作は、神奈川県鎌倉市にある「シェアビレッジ鎌倉西御門」内のコミュニティスペースの一つとして計画された、ゴミステーションのデザインである。「シェアビレッジ鎌倉西御門」は、西御門エリアの山裾に広がる約3,000㎡の敷地において、コーポラティブ方式により長い時間をかけて少しずつ開発が進められている現代的な“村”である。現在は数軒の長屋や戸建住宅が中庭を囲むように配置され、今後も複数棟の建設が計画されている。本計画地は、坂道の多い鎌倉の山上に位置しており、ビレッジへと続くアプローチは傾斜のあるスロープとなっている。両側には芝生が段状に広がり、その地形の一部となるように、本作「コミハコ」はそっと嵌め込まれた小さな建築である。

 単なるゴミ捨て場としてではなく、住民が日常的に利用するアプローチ空間に新たな居場所をつくることを意図した。上部に腰掛けられるベンチと植栽ポットを設けることで、ゴミ捨てという行為を、人と人の関係を育む滞在へと転換する仕掛けとしている。また、平面形状を台形とすることで空間にゆるやかな広がりをもたらし、ふと足を止めたくなる小さな公共性を生み出している。

 ゴミ箱からコミハコへ。

 捨てる場所から、関係を結ぶための装置へと更新する建築である。鎌倉という歴史ある落ち着いた住宅地の風景に寄り添いながら、住民と周囲をやさしく巻き込み、コミュニティを育む生活へと導く存在である。


Date: 2025.4.15
Site: Kamakura City, Kanagawa
Note: Design Ma/ Awai
Member: 高橋京佑、小和瀬匠、小原廣之進(B4)、 秋山瑠奈、佐野瑠美、福永陽彩(B3) 、佐々木爽日、多田真緒里、南部詩乃、藤田夏綺、松尾亮太、 森川颯汰朗、清宮悠、栗生拓海、井冨花音、島田渉吾、 渡辺心春、首藤風葉(B2)、荒木愛彩、北山美詩、首藤碧生、福田真奈、吉田光耀、佐々木寛太、浅見咲那、中島誓海、中村丈人、山本翠、山本咲紀(B1)
Photo:中島悠二